女子バレー

40年ぶりブラジル撃破の舞台裏に迫る!古賀紗理那を欠くなかで石川真佑に火をつけた眞鍋監督の一言とは?【女子バレー】

世界選手権では実に40年ぶりの勝利だった。

40年ぶりブラジル撃破の舞台裏に迫る!古賀紗理那を欠くなかで石川真佑に火をつけた眞鍋監督の一言とは?【女子バレー】

去る9月30日に行なわれた女子バレーのブラジル戦は、2次ラウンド進出に向けて、まぎれもなく日本代表にとって大一番と言える試合だった。

コロンビアとの初戦、続くチェコ戦に勝利したものの、3戦目の中国にはストレート負けを喫していた日本。しかもこの試合中にエースでキャプテンの古賀紗理那(NEC)が負傷し、ブラジル戦の出場は絶望的と見られていた。

1次ラウンドの結果が持ち越される2次ラウンドに少しでも上位で進みたいというだけでなく、古賀の負傷状況次第ではチームの根幹も揺らぐ。その中でどれだけ日本が戦えるのか。しかも対するブラジルはここまで全勝できている。たとえ敗れたとしてもどんな内容で戦うかは、将来を見通す意味でも重要だった。

そんな大一番で見事な活躍を見せたのが古賀に代わって出場した石川真佑(東レ)だった。男子バレー日本代表でキャプテンを務める石川祐希(ミラノ)を兄に持ち、自身も21年の東京オリンピックに出場した実力者だ。

174cmとバレーボール選手としては小柄だが、テクニックとパワーを備え、19年には世界ジュニア選手権で世界一にもなった彼女は、古賀とともに攻撃の二本柱としての活躍が期待されてきた。だが、1次ラウンドも突破できなかった東京オリンピックでは、4戦目の韓国戦で最後にトスが集まりながらも決めきることができず……。「自分の力不足。悔しい」と涙する姿もあった。

22年に眞鍋政義氏が女子バレー日本代表の監督に5年ぶりに就任すると、最初の公式戦となったネーションズリーグの初戦、韓国戦で石川は先発出場。このオリンピックのリベンジマッチとなった一戦は見事3対0のストレート勝ちを収めたが、2戦目以降は高いブロックに対して苦戦を強いられ、途中出場となるケースが増えていった。 だが、どれだけ苦しい状況でも、変わらずコツコツ努力を重ねる。それが石川だった。

「思い切ってぶつかるしかない」と覚悟を決めた彼女を後押ししたのは、他でもない眞鍋監督からのアドバイスだ。真面目な性格でこうと決めたらなかなか変化を求めない石川に対し、「このままでは絶対にうまくいかないと思った」という指揮官が口にしたのは、何気ない言葉だった。

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「髪型をポニーテールにするとか、思い切って何か変えてみたらどうだ?」

何気ない小さな変化ではあるが、石川も「じゃあ変えてみよう」とポニーテールを三つ編みにした新しいヘアスタイルで臨んだ。髪型効果というわけではないが、「やるしかない」と開き直った前向きな姿勢はプレーにもつながり、試合開始直後にいきなりサービスエースで得点をゲット。大事な試合の立ち上がりで、石川のサーブから一気に流れをつかんだ日本はブラジルを圧倒した。

ようやく訪れたチャンスをつかんだ石川の活躍はさることながら、ブラジル戦でまさに世界へ鮮烈な印象を残した選手がもう1人、林琴奈(JT)だ。

石川と同じく東京オリンピックにも出場したアウトサイドヒッターで、守備力や抜群の安定感を誇る選手だが、「日本代表の林」として残したインパクトはこれまで決して大きくはなかった。

しかし世界選手権ではセッター対角のオポジットに入り、サーブレシーブやディグはもちろん、機動力を生かした攻撃でもチームの勝利に貢献。ブラジル戦でも日本以上のスピードやコンビネーションを誇るブラジルの攻撃を自在にさせまいとサーブで攻め、強打もレシーブで拾う。相手からすれば実に嫌な存在となった林が目立たぬところで流れを引き寄せたのも大きい。

林自身は「まだまだ落としてはいけないボールを落としてしまったり、課題のほうが多かった」と振り返るが、両レフトに攻撃が偏りがちだったなか、林がライトから着実にスパイクを決めたことで、ブラジルのブロックにほんの数秒ではあるが迷いが生まれた。

そこでセッターの関菜々巳(東レ)がうまくバックアタックも絡めた攻撃でより得点機会につながった。数字に残るプレーばかりでなく着実に役割を果たす仕事人ぶりを発揮した林の活躍が、ブラジルから世界選手権で実に40年ぶりとなる勝利を引き寄せる力になっていたのは間違いない。

エースの古賀を欠いた1次ラウンドで勝利を収めたブラジルと、日本は決勝トーナメントでも再戦した。勝てば準決勝進出が決まる大一番で1次ラウンドと同様に石川、林の活躍で日本が2セットを先取しベスト4に王手をかけた。

しかしここからブラジルはサーブ、ブロック、スパイクで一段ギアを上げた反撃を開始。日本も最後まで全員でボールをつなぎ、多彩な攻撃を仕掛けたが劣勢から好守で高いパフォーマンスを見せたブラジルが逆転の末に勝利を収め、日本は最終成績を5位で終えた。

最終セットの最後は石川のスパイクがネットにかかり、試合終了が決まった瞬間、石川は右手でコートを叩き悔しさを露わにした。東京オリンピックの韓国戦も自身が決められず、後悔を残したが、世界選手権でブラジルに惜敗を喫した直後の石川はまっすぐ前を見ていた。

「最後に決められなかった自分の力不足。負けたことが本当に悔しいので、パリオリンピックでは絶対に勝てる力をつけたい」

ブラジルに勝って満足する時代はもう終わった。40年ぶりに世界選手権でブラジルからつかんだ勝利は日本代表の自信となり、来年のオリンピック予選を勝ち抜く原動力になることだろう。

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