政治
トランプ氏が次期大統領選に向け始動「民主党を打ち負かす」 共和党支持層では最有力だが求心力低下も
【ワシントン=吉田通夫】トランプ前米大統領は28日、東部ニューハンプシャー州と南部サウスカロライナ州で演説し、2024年の次期大統領選に向けて始動した。まずは共和党の候補になるためのレースを勝ち抜かなければならないが、求心力の低下が指摘されるうえ党内での配下議員と穏健派との分断も招いており、共和党支持層がどのような判断を下すのかが注目される。
米メディアによると、トランプ氏が演説したのは共和党の年次集会と自身の選挙チームの発表イベント。これまで通りの主張を繰り返して民主党のバイデン政権を激しく非難し「民主党を打ち負かす」と訴えた。バイデン氏は副大統領在任時など過去の機密文書が関係先で相次いで見つかり苦しい立場にあるが、トランプ氏も大統領退任後に機密文書を持ち出して捜査を受けており、演説ではあまり触れなかったとみられる。
両州では早めに党内の候補者選定手続きがあるため、序盤に勢いをつけようと各候補が力を入れる。トランプ氏は16年の大統領選で両州とも勝利し、最終的に党内レースを制した。
米ハーバード大などが20日に発表した世論調査によると、共和党支持層の中でもトランプ氏を推す回答者は48%と最有力だが、フロリダ州のデサンティス知事も28%と追い上げている。トランプ氏は同日のAP通信のインタビューで「私が彼を(州知事に)当選させたのだから、大統領選に出馬したら大きな背信行為になる」とけん制した。
ただ、昨年11月の中間選挙では、デサンティス氏が知事選で圧倒的な強さを見せたのに対し、上院選の重要選挙区ではトランプ氏の推薦候補が民主党にすべて敗れ、求心力の低下が指摘されている。また、議会の下院議長選でトランプ氏を支持する保守強硬派が主流派に造反を繰り返すなど、分断をあおるトランプ氏の存在は党内不和も招いているだけに、共和党支持層は難しい判断を迫られそうだ。