3月2日、安倍晋三元首相の死去に伴う衆院山口4区補選(4月23日投開票)に、立憲民主党が元参院議員の有田芳生(よしふ)氏を擁立する方向で最終調整に入った、と複数のメディアが報じた。まず毎日新聞が報じ、その後、共同通信など他メディアも報じた。

有田氏は、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)問題を追及してきた古参のジャーナリスト。旧統一教会と政治との関わりなどの問題を訴えるため、立民は有田氏が適任と判断したとみられる。

有田氏は2010年の参院選で、旧民主党から比例代表で立候補し、初当選。2期務めたが、2022年7月の参院選では4万6715票の得票にとどまり、落選していた。だが、安倍元首相と旧統一協会の関係に焦点が当たり、再び注目を集めていた。

有田氏が『朝日ジャーナル』に、旧統一教会の追及記事を本格的に書き始めたのは1987年。それ以降、教団からはさまざまな攻撃を受けてきたという。ただ、そんな旧統一教会も昨今は、かつてないほどに弱体化していることが肌で感じられるという。

2022年8月、本誌のインタビューに有田氏はこう語っている。

「最近は、嫌がらせの電話が殺到することもなく、抗議文を送りつけてくる程度。統一教会もたいへんな状況なんじゃないでしょうか。教団68年の歴史のなかでも、いまが最大の危機だと思いますよ」

だからこそ、今まで以上に旧統一教会を鋭く追及していかなければならないと有田氏は力を込めた。

「たとえば、国会議員の公設秘書や私設秘書のなかに、どれくらい信者が紛れ込んでいるのか。1980年代に私が調べたときには、いまではできないことですが、戸籍まで取得して、信者名簿と照合したりしながら半年かけて裏を取りました。いまも『国会便覧』などを頼りに、政界内部の統一教会関係者を時間をかけて調べていこうと思っています」

山口県は現在、全4選挙区の議席自民党が独占する保守王国だ。だが、今回の山口4区補選は、安倍元首相の弔い選挙でありながら、自民党は難しい状況を抱えている。

4区補選は現行の区割りでおこなわれるが、「10増10減」を受け、次期衆院選小選挙区は1減。4区補選で当選しても、次期衆院選では、現3区選出の林芳正外相と公認争いになる可能性が高いのだ。

自民党安倍氏の後継として、元下関市議の新人・吉田真次氏の公認を決定。NHK党は党幹事長の新人・黒川敦彦氏の擁立を発表している。

保守王国に、立民が有田氏を擁立する方向で最終調整に入ったことが報じられると、SNSでは賛否が渦巻いた。

《すごい これ投票率次第で充分チャンスあるのでは…》

《安倍は、山口4区で2012年には118,696 票も獲得したが2021年には80,448 票 と3分の2に激減している。森友、加計、桜と地元でも愛想をつかされ、さらに“統一教会“との関係も。安倍の後釜は無名の新人。ここで“統一教会“と向き合う有田氏の擁立は意味がある》

《これは凄くいい流れ。知名度は抜群だし統一教会被害者に銃撃された安倍晋三の選挙区の対抗馬としてはこれ以上はないってぐらいの逸材、よくぞ名乗り出てくれました》

と賛同する声が上がる一方、安倍元首相の弔い選挙に、有田氏を擁立する立民に批判的な声も上がった。

《この醜悪さ、まさに立憲民主党だな~》

《嫌がらせが目的で、安倍さんの地元で「安倍ガー、統一教会ガー」とやりたいだけでしょ。安倍さんの地元で、これは悪手だよ》

《安倍さんの選挙区でこの人選って嫌がらせにしか見えず、立憲って第二政党としての重みがないなあと思います》

同日に投開票される衆院山口2区補選では、岸信夫前防衛相の長男で、元秘書の岸信千世氏が立候補を表明している。そのためSNSでは、《山口2区も対抗馬を立てるべき》という声も上がっている。

にわかに与野党対立の様相をおびえてきた衆院補選。支持率低迷に悩む岸田文雄首相にとっても、負けられない選挙となりそうだ。

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